消化器疾患について

当院は、ピロリ菌、炎症性腸疾(潰瘍性大腸炎など)の診断治療にも取り組んでおります

上部消化管疾患

ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)

◆ピロリ菌について

胃粘膜は、胃酸に覆われているため、従来、細菌は存在できないと考えられていましたが、研究により、胃の中でも存在できる、ピロリ菌という菌が発見されました。

ピロリ菌は、胃酸を中和しながら、胃の中で生存しています。

ピロリ菌の感染経路はいまだ不明ですが、感染者便中にはピロリ菌が検出されおり、井戸水を介した感染か「ハエ」「ゴキブリ」などが媒介になっている感染との説が出ています。さらに、免疫機能が十分ではない幼児期に感染する可能性が高く、免疫機能が確立している成人が新たに感染する可能性は低いといわれています。「夫婦間の感染」が稀とされているのは、先述のように感染するのは主に子供であるからです。親子間のキスや家族一緒の食事が実は「口~口」感染の原因との一説もあります。

日本人の場合、年齢が高い方ほどピロリ菌に感染している確率が高く、60歳以上の方で60%以上が感染している(既往を含む)といわれています。

また、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃炎の患者さんはピロリ菌に感染している確率が高く、ピロリ菌感染が胃・十二指腸の炎症や癌の発生に関与していると考えられています。

ピロリ菌を除菌すると、胃や十二指腸の病気が再燃しにくくなることから、現在では、ピロリ菌に感染していることが分かった場合、積極的に除菌することが勧められています。

◆検査

  • 抗体測定:血清などのピロリ菌の抗体を測定します。菌がいなくなってもすぐには減らないため、除菌後判定にはむかないとも言われています。
  • ウレアーゼ試験:胃粘膜などからピロリ菌のもつウレアーゼ活性を測定し、菌の有無を診断します。内視鏡検査下に行われます。
  • 便中抗原測定:便の中のピロリ菌抗原を測定します。
  • 尿素呼気試験:検査試薬を飲み、吐き出した息を採取し、ウレアーゼ活性を測定し菌の有無を診断します。うまく息を採取できないご高齢の方には、正確に行われない可能性があります。

◆治療

胃酸分泌を抑える薬1種類と抗菌薬2種類を用いる除菌療法が一般的です。この方法の除菌率は約90%です。一度除菌されると、再発の可能性は2~3%と報告されています。服用時には、蕁麻疹や、下痢・軟便などの副作用が現れることがあります。

下部消化管疾患

潰瘍性大腸炎

◆ 潰瘍性大腸炎について

潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜にびらんや潰瘍ができる炎症性疾患です。いろいろな研究がなされていますが、未だ原因は不明です。特徴的な症状としては、下痢、腹痛、あるいは下血症状などが頻繁に起こります。病変は直腸から連続的に、そして上行性(口側)に広がる性質があり、最大で直腸から結腸全体に拡がります。

◆ 検査

最初に、血性下痢を引き起こす感染症と区別することが必要です。下痢の原因となる細菌や他の感染症を検査し、鑑別診断が行われます。その後、内視鏡などによる大腸検査を受けます。炎症や潰瘍の範囲などを調べます。さらに大腸粘膜の一部を採取し、病理診断を行います。類似した症状を呈する他の大腸疾患と鑑別され、確定診断されます。

◆ 治療

内科的治療の代表的なものとして、改良新薬のメサラジン(ペンタサやアサコール)があります。炎症を抑えることで、下痢、下血、腹痛などの症状は著しく減少します。軽症から中等症の潰瘍性大腸炎に有効で、再燃予防にも効果があります。

中等症から重症の患者さんには、プレドニゾロン(プレドニン)が用いられます。強力に炎症を抑えますが、再燃を予防する効果は今のところ認められていません。

最近では、インフリキシマブ(レミケード)やアダリムマブ(ヒュミラ)といった注射薬も使用されます。効果が認められた場合は、前者は8週ごとの点滴投与、後者では、2週ごとの皮下投与が行われます。後者では自己注射も可能です。

他に、免疫調節薬または抑制薬や血球成分除去療法などの治療が選択されることがありますが、詳細な採血が必要になったり、厳重な経過観察や対応が必要となることもあるため、病院での加療が勧められます。

内科的に治療抵抗を示す場合は、外科的治療が検討されます。